ちょっと休憩編 |
ここでは、調停などを通して感じた雑感を・・・ |
弁護士さんは『正義の味方』か |
その答えが、ある意味「ノー」であることを、法律を少しでも学んだことの ある者なら知っている----と言ったら、驚かれるだろうか。 なぜなら、弁護士はあくまでも依頼者の代理人に過ぎないから。 極端な例を出すなら、どんなに極悪非道な殺人者に対しても 適正な手続きの下で裁判が行われるよう代理人・保護者として国選弁護人が ついていることを見ればわかる。被害者やその遺族からすれば、「なんで そんな悪人の味方をするのか!」という気持ちになってしまうが...。 ただ、刑事裁判の場合、それでも最終的には「無辜の不処罰」*等の 国民の福祉に奉仕しているのだと抽象的には言える。 でも、民事の場合、弁護士は基本的には依頼人の利益を守るために 活動をする。だから、その相手方にとっては、 「どうしてそんなひどい主張をするのか」ということにもなりかねない。 特に、相手方弁護士が「相手は法的知識が無いようだから、 『あなたにはそんな請求をする権利はない』と嘘をついてでも こちらに有利に話を進めてしまおう」等と考えてしまうとどうなるか...。 ただ、以前ちょっと契約関係で揉めた経験のある私としては、 「法的知識がない相手に、こちらにはこう主張する権利が法律上 認められている」とわかって貰うのは大変だったりしたので、 相手に法的知識が無いというのは諸刃の剣だと思うけれど...。 つまり、上手く言いくるめられてしまう原因にもなるし、他方で 自分に法律上の義務があることを知らないために揉める原因にもなるということ。 例えば、最近有名になった「瑕疵担保責任」。簡単に言うと、不具合のある物を 売った者は、不具合を知らずに買った者に対して原則として責任を負うということ。 例の姉歯さんの事件では金額も大きいし、皆さん「もっともだ」と思うだろうけれど、 個人間の売買で、金額も数万だった場合、特にあなたが売った方だったらどう思いますか? * 国民が、真犯人ではないのに間違って処罰されてしまうという 国民にとっての最悪の事態が起きないようにすること。 被告人に対しても、あくまでも裁判などの適正な手続きによらな ければ処罰できないというのも、手続きの適正を欠くと、拷問などで 「真犯人ではないのに自白してしまった」という事態を生じてしまう おそれがある。また、不当な捜査で国民(捜査の対象は被疑者等に 限らない)の人権が侵害されるのを避けるため。 さらに、「お前は悪いことをした」という方が汚い手段を使って いるのでは裁判に対する国民の信頼を損なってしまうためともいえる。 |
弁護士さんは『完全な味方』か。 --弁護士の最も難しい仕事-- |
「民事の場合、弁護士は基本的には依頼人の利益を守るために 活動をする」と前回書いた。 そのせいだろうか、たまたま、ある弁護士さんの書かれたコラムが目に入った。 民事事件の場合、「弁護士の最も難しい仕事に、依頼者を『説得する』 ということがある」という内容のものだった。 つまり、具体的な事件の交渉の中で、弁護士には その事件の「望ましい落ち着けどころ」が見えてくるのだが、 そこに持っていくためには依頼者にも歩み寄りをして貰う必要があり、 その説得が難しいということだった。 なぜなら、歩み寄りのためとはいえ、味方であるはずの弁護士に 依頼者自身の落ち度を指摘されることは、弁護士を「100パーセントの味方」だと 思っている依頼者には不本意なことであると思われるからである。 また、弁護士側にとっても、依頼者はスポンサーなので、このような説得を した上で弁護士費用を気持ちよく支払って貰うのは難しい仕事だということだった。 というわけで、この弁護士さんとしては、弁護士は一方当事者の代理人で ありながら、事件にとってどんな解決法が最も望ましいかを考える視点が必要だ と思うということだった。 この考え方からすると、弁護士さんにも裁判官的な視点があることになるので とにかく依頼者の希望をかなえるために相手方にとって「ひどい主張をする」 ということにはおそらくならないのでしょうね。 (まあ、紛争の一方当事者にとっては、他方の弁護士が反論のために主張することは、 感情的には、たいてい「ひどい主張」に感じられてしまうという事はあるでしょうが そのあたりは割り引いて...) |
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